自動車事故を起こしてしまったとき、必ず自動車保険を使用しなければいけないと思っていませんか?
実は、軽微な事故で自動車の修理を行わないといけない場合、自動車保険を利用しない方が経済的な損失が少なくて良いケースが多いんです。
このため、事故を起こしてしまったときは、「事故状況」「修理費」を考えて自動車保険を利用するか決めることが大切です。
この記事では、自動車事故を起こしても自動車保険を利用しない方が良い理由やケースを解説していきます。
実際の「保険を使った場合」と「保険を使わない場合」の計算は後半に記述しているので参考にして下さい。
「等級制度」は保険料で一番大切な要素
自動車を運転する方は自動車保険の等級について一度は聞いたことがあると思います。
事故をしてしまうと等級が下がり、保険料が上がります。また、1年間で無事故を継続していると1等級ずつ上がって保険料もだんだん安くなります。
これは、自動車保険の「ノンフリート等級制度」という制度によるものです。この制度が保険料の金額に大きく影響してしまいます。
保険料は、「ノンフリート等級制度」により段階的に割引率が定められています。この制度は、共済等を除く全ての保険会社に同じ指標が定められており、たとえ保険会社を変えたしても現在の等級は引継がれます。
このため、事故を何回もしている自動車は保険料がかなり高くなってしまうのです。
「ノンフリート等級制度」の説明に関しては下の記事で詳しく説明しているのでご参照下さい。
-
自動車保険のノンフリート等級制度の割引率はどれくらいなの?
自動車保険では、事故を起こさない人には保険料が安くなるように仕組みになっています。この仕組みのことを等級制度と呼びます。 正確に言うと、ノンフリート(車両10台以下の契約)に適用される制度なのでノンフ ...
続きを見る
ただし、「ノンフリート等級制度」は自動車保険を使用したときしか下がりません。事故だけでは保険会社へ連絡しても等級は下がることはないのです。
また、事故でご紹介しますが事故によっても等級の下がり方に違いがあります。
この違いも保険料に影響するので確認してみて下さい。
軽微な損傷では保険を使用しない方が「お得」
自動車保険を使用すると保険料が上がってしまいす。そのため、損傷が小さいときに保険を使用してしまうと損害額が小さいのに保険料の方が高くついてしまうことがあります。
このため、事故によっては保険を使用しない方が「お得」になるかもしれないのです。
ここでは、事故の種類ごとにどんなときに保険を使用したら良いのか解説していきたいと思います。
3等級ダウン事故の場合
「3等級ダウン事故」とは、これからご紹介する「1等級ダウン事故」、「ノーカウント事故」に該当しない事故のことです。
ほとんどの事故が、「3等級ダウン事故」に該当します。詳細に関しては、下の記事をご覧ください
-
3等級ダウン事故で保険料がどれくらい上がるの?
「3等級ダウン事故」は、翌年度の等級が3つ下がってしまう事故のことを言います。3等級も下がってしまうため保険料が大きく上がってしまいます。 このため、「3等級ダウン事故」を起こした多くの方で、少々の車 ...
続きを見る
実際に「3等級ダウン事故」で等級が下がったときの例を下記にまとめました。
「3等級ダウン事故:8等級→5等級」事故前の保険料:10万円の場合
等級(事故有係数) | 保険料概算 | 事故前の保険料差額 | |
次年度 | 5等級(事故有) | 145,000円 | 45,000円 |
2年後 | 6等級(事故有) | 135,000円 | 35,000円 |
3年後 | 7等級(事故有) | 133,000円 | 33,000円 |
保険料合計 | 413,000円 | 113,000円 |
事故前の等級に戻るまでに、113,000円の保険料が増えます。
「3等級ダウン事故:20等級→17等級」事故前の保険料:10万円の場合
等級(事故有係数) | 保険料概算 | 事故前の保険料差額 | |
次年度 | 17等級(事故有) | 168,000円 | 68,000円 |
2年後 | 18等級(事故有) | 162,000円 | 62,000円 |
3年後 | 19等級(事故有) | 157,000円 | 57,000円 |
保険料合計 | 487,000円 | 187,000円 |
事故前の等級に戻るまでに、187,000円の保険料が増えます。
1等級ダウン事故の場合
1等級ダウン事故とは
- 火災・爆発
- 車の盗難・騒擾(そうじょう)
- 労働争議に伴う暴力行為・破壊行為
- 台風・竜巻・洪水または高潮
- 落書き・窓ガラスの破損・いたずら
- 飛来中または落下中の他物との衝突
「1等級ダウン事故」とは上記の事故の場合になります。ただし、「1等級ダウン事故」と「3等級ダウン事故」が同時に発生した場合は、「3等級ダウン事故」の扱いになります。
「1等級ダウン事故」の詳細は下の記事で説明しているのでご参照ください。
-
1等級ダウン事故とは?保険料がどれくらい上がるか徹底検証!
「1等級ダウン事故」は、翌年度の等級が1つ下がってしまう事故のことを言います。等級が1つだけ下がるだけなので、翌々年度には事故前の等級に戻ります。 このため、「1等級ダウン事故」では保険料が高くなると ...
続きを見る
実際に「1等級ダウン事故」で等級が下がったときの例を下記にまとめました。
「1等級ダウン事故:8等級→7等級」事故前の保険料:10万円の場合
等級(事故有係数) | 保険料概算 | 事故前の保険料差額 | |
次年度 | 7等級(事故有) | 133,000円 | 33,000円 |
2年後 | 8等級(事故無) | 100,000円 | 0円 |
事故前の等級に戻るまでに、33,000円の保険料が増えます。
「1等級ダウン事故:20等級→19等級」事故前の保険料:10万円の場合
等級(事故有係数) | 保険料概算 | 事故前の保険料差額 | |
次年度 | 19等級(事故有) | 157,000円 | 57,000円 |
2年後 | 20等級(事故無) | 100,000円 | 0円 |
事故前の等級に戻るまでに、57,000円の保険料が増えます。
ノーカウント事故の場合
ノーカウント事故とは
- 人身傷害補償保険
- 搭乗者傷害保険
- 無保険者傷害保険
- その他特約
「ノーカウント事故」とは上記の事故の場合になります。ただし、「ノーカウント事故」と「3等級ダウン事故」が同時に発生した場合は、「3等級ダウン事故」の扱いになります。
「ノーカウント事故」の詳細は下の記事で説明しているのでご参照ください。
-
ノーカウント事故は等級が下がらない事故!
「ノーカウント事故」は、保険を使用しても等級が変わらない事故です。 このため、当年度に「ノーカウント事故」以外の事故がなければ、翌年度も通常通りに1つの等級が上がります。 「このくらいの事故なら損害よ ...
続きを見る
自動車保険を使用する目安は?
自動車保険を使用するときの目安
「3等級ダウン事故」:【損害額】 > 【事故前の等級に戻る3年間の保険料差額合計】
「1等級ダウン事故」:【損害額】 > 【事故前の等級に戻る1年間の保険料差額合計】
自動車保険を使用するときの目安となるのが、事故前の等級に戻るまでの保険料差額の合計よりも損害額が大きい場合です。
このようなときは、自動車保険を使用するメリットがあります。
上記の例ですと、
【3等級ダウン事故:20等級→17等級】の場合
◆損害額:100万円
→187,000円より、100万円の方が支払いが大きいので保険を使用するべき
◆損害額:5万円
→187,000円より、5万円の方が支払いが大きいので保険を使用しないほうが良い
このようになります。
このことをあらかじめ知っておくことで、事故対応のスムーズにすることができるので、ぜひ覚えておいてください。
自動車保険を使用するかは保険会社に相談する
自動車保険は使用するまでは、等級が下がりません。
つまり、保険会社へ連絡しても、保険会社から調査員を派遣してもらっても、等級には一切影響はないのです。
そのため、事故が起きたときは必ずまず保険会社へ相談しましょう。また、警察への届け出も忘れないで下さい。
事故が起きたときは、ご自身だけでは判断できないこともたくさんあります。
保険会社へ相談をすれば、保険料がどれくらい上がるかも聞くことができます。また、保険を使用するかどうかも保険会社が判断してくれます。
翌年度以降の保険料が高くなるからと考えて、保険会社へ連絡をしないことは後々のトラブルになる可能性があるのでやめましょう。
まとめ
この記事のまとめ
- 軽微な損傷のときは、自動車保険を使用しない方が「お得」になるケースがある
- ただし、自動車保険を使用するかどうかは保険会社と相談して決めることが大切
最後まで読んでいただきありがとうございました。