
事故や故障で車を修理に出すことになったとき、じわっと効いてくるのが「レンタカー(代車)費用」です。
「修理が1〜2週間かかると言われた…通勤どうしよう」
「代車が無料だと思ってたのに“有料です”って言われた」
「レンタカー費用特約(代車費用特約)って付けた方がいい?いくらにする?」
私は元・損害保険会社の社員として、こうした相談を本当にたくさん見てきました。
レンタカー費用特約は、事故の“損害額”よりも、事故後の生活の止まりを防ぐ特約です。だからこそ、必要な人にとっては満足度が高い一方で、不要な人が付けると「使わないのに毎年払ってる…」になりがちです。
この記事では「レンタカー費用特約/代車費用特約」について、仕組みから選び方まで整理します。
この記事でわかること
- レンタカー(費用)特約の補償内容(何が、いつ、どこまで出る?)
- 日額5,000円・7,000円・10,000円の選び方と、15日/30日の考え方
- 「必要な人」「不要でも困らない人」の判断基準
- よくある落とし穴(無料代車・車両保険との関係・等級ダウンの考え方)
- レンタカーを借りるときに別で注意したい保険(免責・NOCなど)
「結論だけ知りたい」という方は、次の “おすすめ結論” だけ先に見てもOKです。
目次
結論:レンタカー費用特約は「車が止まると生活が詰む人」ほど優先度が高い
レンタカー費用特約(代車費用特約)は、事故などで契約車が修理中・使用不能になったときに、代わりの車(レンタカー)を借りる費用を補償する特約です。
- 通勤・送迎・介護などで車が1日でも止まると困る → 付ける価値が高い
- 家にもう1台ある/公共交通で回る/在宅中心 → 優先度は下がる
迷ったら、「車が使えない1週間」を想像してみてください。そこで困り方が大きい人ほど、この特約は効きます。
レンタカー(費用)特約の基本:補償は「日額 × 日数」が上限
多くの自動車保険では、レンタカー費用特約に以下の上限があります。
- 1日あたりの補償上限(例:5,000円/7,000円/10,000円など)
- 補償される上限日数(例:事故は30日、故障は15日など)
補償イメージ
日額5,000円 × 20日利用 = 最大10万円まで(上限内なら実費)
「日額が安いから大したことない」と見えますが、修理期間が長いほど家計インパクトが増えるのがレンタカー代です。
どんなときに使える?事故だけ?故障・盗難は?
ここが一番の注意点です。レンタカー費用特約は、保険会社や商品によって対象が違います。
よくあるパターン
- 事故(車両事故)で修理中:対象
- 故障:対象になる商品もある(ただし条件付きが多い)
- 盗難:対象に含む商品もある
また、「車両保険の補償対象となる事故のときだけ支払う」といった設計もあります。加入前に、あなたの契約(または検討中商品)がどれに当てはまるかは必ず確認しましょう。
【落とし穴】無料代車があるなら不要?→ “確実かどうか”で判断が変わる
「修理工場が無料で代車を出してくれるから、特約いらないよね?」
これは半分正解で、半分危険です。
いらない可能性が高いケース
- いつもお願いしている工場で、無料代車が確実に出る
- 代車が軽でも困らない(送迎・荷物が少ない)
- 代車が出ないときも公共交通や別車で対応できる
付けておくと安心なケース
- 工場の混雑で「代車が空いてない」が普通に起きる地域
- 代車が出ても“車格が合わない”(軽だと送迎できない等)
- 修理先が固定ではない(どこに入庫するか未定)
「無料代車があるか」ではなく、“事故のときに確実に使えるか”で判断するのがコツです。
日額はいくらがいい?5,000円・7,000円・10,000円の選び方
日額は「借りたい車のサイズ」に合わせるのが一番失敗しません。
レンタカー費用特約の日額目安
- 軽・コンパクトで十分 → 日額5,000円で足りる可能性が高い
- 送迎・荷物あり・ミニバンが必要 → 日額7,000円以上を検討
- 仕事で車格が必要/同等クラスが必要 → 日額10,000円も候補
ここで大事なのは、特約は「必要なサイズの車が借りられるか」を守るものということ。
安くしたくて日額を下げるのはOKですが、足りない分は自己負担になります。
上限日数は15日?30日?修理期間の現実で考える
上限日数は商品差が大きいですが、考え方は同じです。
- 「多少は自腹でもいい」 → 15日でも割り切れる
- 「車がないと生活が回らない」 → 30日が安心
実際は、修理工場の混雑や部品待ちで長引くことがあります。特に、損傷が大きい事故だと期間が読めません。生活依存度が高い人ほど日数は厚めが無難です。
使うと等級は下がる?保険料が上がる?
ここは誤解が多いポイントです。
結論としては、「レンタカー費用特約を使ったから」ではなく、どの事故で、どの補償(車両保険など)を使ったかで等級への影響が決まることが多いです。
レンタカー費用が車両保険の支払いとセットで動く設計の場合、事故内容によっては翌年以降の保険料に影響する可能性があります。
不安な場合は「今回の事故で保険を使うと等級に影響するか」を保険会社に確認するのが確実です。
実務で多い“つまずき”3選(加入前に知っておくと損しない)
1)レンタカーを借りる手順が分からず、自己手配で高くつく
事故後はバタバタします。保険会社の案内(提携レンタカー等)に乗った方がスムーズなケースが多いです。
2)「修理中だけ」だと思ってたら、対象期間にルールがあった
商品によって「起算日」「対象期間」の考え方があります。事故日から無制限ではないので、加入時に確認しておくと安心です。
3)レンタカーの保険(免責・NOC)で別の出費が出る
レンタカーを借りるときは、レンタカー会社側の免責補償(CDW)やNOC(休業補償)など、別の費用が発生することがあります。
レンタカー費用特約は“レンタカー代”が中心で、こうした周辺費用まで含むかは契約次第です。ここも確認ポイントです。
似ているけど別物:「他車運転特約」との違い
レンタカーを運転する保険として「他車運転特約」を聞いたことがある人も多いはずです。
これは多くの自動車保険で自動付帯されることがあり、代車やレンタカーを運転中の事故を、自分の保険でカバーできる場合があります。
ただし、他車運転特約は「運転中の補償」であり、レンタカー費用特約は「車が使えない間の費用補償」です。役割が違うので、混同しないのがポイントです。
まとめ:レンタカー費用特約は“事故後の生活”を守る特約
レンタカー(費用)特約は、事故や故障などで車が使えないときのレンタカー代を、日額×日数の範囲で補償する特約です。向いているのは「車が止まると生活が止まってしまう人」。逆に、代替手段がある人は優先度が下がります。
迷ったら、この順番で決めると失敗しにくいです。
ココがポイント
- 無料代車が“確実に”使えるか(代車がなくても困らないか)
- 日額は借りたい車格で決める(5,000/7,000/10,000が目安)
- 日数は生活の依存度で決める(15日で割り切るか、30日で安心を買うか)
- 車両保険との関係・対象条件・等級影響の考え方を確認する
事故は起きないのが一番。でも、起きたときに困るのは「修理費」だけではありません。
レンタカー費用特約は、“事故後の生活の止まり”を防ぐための現実的な備えとして、必要な人には強くおすすめできる特約です。
