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対人賠償責任保険の補償は、無制限にする必要があります。
そのように聞いて、「自分の保険は無制限だったかな?」と思われる方が多いかもしれません。
もし「無制限」より下の設定であれば、必ず無制限にして下さい。
対人の事故では、莫大な損害賠償の費用がかかる可能性があるからです。
私が働いていた損害保険会社でも、「1億円」以上の損害賠償が請求されことがありました。
その方は、新聞にも載るような大きな事故でしたが、対人賠償責任保険を「無制限」にしていたおかげで自己破産せずに済んでいるのです。
この記事では、そんな対人賠償責任保険を「無制限」にする理由を解説します。
対人賠償責任保険とは
対人賠償責任保険は、自動車保険の「基本補償」と呼ばれる基本的な補償の1つです。どのような保険なのかみていきたいと思います。
誰に補償をするのか
自賠責保険の限度を超えて、相手を死傷させてしまったときの費用を補償する保険です。
補償対象 | ・相手の車両の運転手、同乗者 ・契約車両(自分の車両)の同乗者(ただし、運転者・運転者家族は補償されない) ・歩行者等の自動車搭乗以外の者 |
対人賠償責任保険は、運転者以外の全ての人に対して、身体に関する損害を与えてしまったときに支払われる保険です。
そのため、契約車両に同乗して、事故によりケガをしてしまった同乗者も補償されます。
しかし、ここで注意が必要なのですが、運転者の家族は補償されません。
具体的に言うと、「父、母、、配偶者、子供」になります。「祖父母、孫、兄弟」は補償の対象になります。
ややこしいですよね。。
正確に覚えるのは難しいので、「家族」が補償されないと覚えていた方がいいかもしれません。
頭の片隅に入れておくだけでも事故が起きたときの心の余裕に繋がるので、覚えておくに越したことはありません。
運転者、運転者家族(父、母、子供)のケガに関しては、人身傷害補償保険で補償されます。
下記の記事で「人身傷害補償保険」を詳しく解説しているので、こちらも合わせて読んでみて下さい。
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補償される費用とは
補償される費用 | 治療費、通院交通費、休業損害、逸失利益、精神的損害 等… |
用語
休業損害:仕事を休んだことによる収入の損失
逸失利益:将来、得られるはずであった利益(死傷したことにより得られなくなった損失)
対人賠償責任保険は、相手のケガに関する費用を補償します。ただし、単純にケガを補償する保険ではありません。
休業損害、逸失利益、精神的損害等の、本来得られるべきであった利益や損害に関しても補償の対象になります。
対人賠償責任保険が「無制限」の理由を解説
対人賠償責任保険の無制限の理由を、対人事故の損害賠償金事例と共に解説します。
対人事故の損害賠償金は高額になる可能性がある
損害金額 | 判決年 | 職業 | 年齢性別 | 態様 |
5億2853万円 | 平成23年 | 眼科開業医 | 41歳男性 | 死亡 |
3億9725万円 | 平成23年 | 大学生 | 21歳男性 | 後遺症傷害 |
3億9510万円 | 平成23年 | 大学生 | 20歳男性 | 後遺症傷害 |
3億8281万円 | 平成17年 | 会社員 | 29歳男性 | 後遺症傷害 |
3億7886万円 | 平成19年 | 会社員 | 23歳男性 | 後遺症傷害 |
出典:損害保険料算出機構2016年度版(2018年3月発行)
上記は過去の損害賠償金の請求額の表になります。
請求金額が一番大きい事例では、5億円以上の支払いを求められています。
事故で必ず相手が死傷するわけではないですが、仮に大きな事故を起こしてしまったときに高額な賠償が請求されてしまうのです。
請求金額は将来的に稼ぐ金額が多くなればなるほど上がります。
例えば、若い人や高所得者です。
また、後遺症傷害で治療費が莫大にかかる場合も請求金額が大きくなります。
請求金額の計算の方法は、下記の記事で「人身傷害補償保険の計算方法」の記事とほとんど同じように計算します。
ご興味のある方は、こちらも合わせて読んでみて下さい。
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対人賠償責任保険が無制限にしなければならない
対人賠償責任保険が無制限の理由
- 対人事故で高額な損害賠償金を請求される可能性がある
- 対人賠償責任保険を無制限にしても保険料はあまり変わらない
賠償金額の事例を見てもらいましたが、数億円以上の支払のケースがいくつもあります。
あなたは1回の事故で数億円もの金額を支払うことはできますか?
支払うことができなければ、相手は家族も含めてめちゃくちゃな人生送ってしまうでしょう。
そして、あなた自身の人生も自己破産によりめちゃくちゃになってしまいます。
また、対人賠償責任保険は、無制限以外の金額を選ぶことがきますが、保険料は無制限とほとんど変わりません。
数億円の支払いのリスクがあり、保険料もほとんど変わらないのであれば、無制限にするしかない理由はわかったと思います。
保険料を抑えるために無制限を付帯しないなら、自動車には乗らない方が良いかもしれません。
相手を守るためにも、自分を守るためにも、対人賠償責任保険の補償は「無制限」で加入をして下さい。
まとめ
対人賠償責任保険が無制限の理由
- 対人事故で高額な損害賠償金を請求される可能性がある
- 対人賠償責任保険を無制限にしても保険料はあまり変わらない
事故はいつ起きるかわかりません。また、事故が起きたときいくら支払かもわかりません。
保険料を安くしようと補償の範囲をあまりにも狭める行為は、保険に加入している意味をなさなくなってしまいます。
最大限のリスクを想定して最低限の補償を考えてから、保険料の調整をしましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。