人身傷害補償保険

簡単に計算できる!人身傷害補償保険のもらえる金額の算出方法とは?

【8分で読めます。】

人身傷害補償保険の補償の上限金額(保険金額)を決めるときの目安は、実は簡単に計算することができます。

保険金額はいくらに設定したらいいのかわからない・・・

本やネットに書いてある通り、保険金額を3000万円に設定すればいいの?

と多くの方は、人身傷害補償保険の保険金額の決め方がわからなかったり、書籍やネットの情報を鵜呑みにしているかもしれません。

書籍やネットでは、人身傷害補償保険の保険金額の目安は「3000万円」か「無制限」と記載されていますが、本来は年収や年齢等の保険を契約している人の一人ひとりで目安が異なります。

例えば、交通事故により20歳で亡くなってしまわれた方は、人身傷害補償保険の補償は3000万円では決して足りません。

このように補償がもらえなようなことが起きないためにも、人身傷害補償保険が実際にどれくらいの金額必要なのかを計算することで、一人ひとりにあった最適な補償内容にする必要があるのです。

この記事では、実際に保険会社が行なっている人身傷害補償保険の計算方法を、損害保険社員時代の経験を交えてご紹介致します。

人身傷害補償保険の計算は決して難しいものではありませんので、ぜひ参考にしてみてください。

 

の記事で学んだことを実際に活かして、自分に合った最適な補償の設定に役立ててみて下さい。

 

人身傷害補償保険(人傷保険)とは?

人傷保険とは、お車に乗っているご自身やご家族が死傷してしまったときに支払われる「身体保険」です。

また、ただのケガだけではなく、逸失利益や、休業損害についても補償の対象になります。

プランによっては、お車に乗っているだけではなく、ご自身が歩行中や自転車に乗っている場合も補償の対象になります。ただし、事故の相手が車に乗っている必要があります。

 

人傷保険は用語が少し複雑なので、下記の記事で「人身傷害補償保険とは?」をわかりやすく解説しています。

こちらも合わせて読んでみて下さい。

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人身傷害補償保険の保険金額の決め方

人傷保険の保険金額の決め方

  • 保険会社が出している損害額を参考にする
  • ご自身の損害額を計算する

上記は、人傷保険の保険金額を安易に「3000万円」「無制限」と決めるのではなく、ご自身の環境にあった保険金額にするための方法です。

損害額とは、交通事故により人傷保険で実際に支払われる保険金の金額のことを指します。

これらの人傷保険の保険金額の決め方について解説します。

保険会社が出している損害額を参考にする

保険会社は、ご自身やご家族が交通事故でどれくらいの費用がかかるのか、過去の事故をもとに大まかな損害額を公開しています。

この公開している情報をもとに、人傷保険の保険金額を決めることができます。

具体的な金額に関しては、次章でご案内します。

 

保険会社が公開している損害額をもとに、大まかな人傷保険の保険金額を決めることができます。

 

ご自身の損害額を計算する

人傷保険に関する損害額は、年収や年齢により変わります。

このため、保険会社が公開している損害額では大まかな金額しかわかりません。

そのため、ご自身で損害額を計算することで、ご自身に人傷保険の最適な保険金額を決めることができます。

計算方法については、この記事の後半でご案内します。

 

ご自身の環境に応じて損害額を計算することで、人傷保険の最適な保険金額を決めることができます。

 

保険会社が公開している人身傷害補償保険の損害額

保険会社は、交通事故により人傷保険にかかる損害額を公開しています。

この章では、大手損害保険会社の人傷保険にかかる損害額をまとめましたので参考にしてみてください。

東京海上日動火災保険

東京海上日動火災保険は、年齢別の人傷保険の損害額一覧になります。

有識者(75歳以上を除く)の平均的な損害額です。

年齢 被扶養者の有無 死亡された場合 重度後遺障害の場合
25歳 あり 8000万円 1億5000万円
なし 7000万円 1億5000万円
35歳 あり 8000万円 1億4000万円
なし 6000万円 1億4000万円
45歳 あり 8000万円 1億4000万円
なし 6000万円 1億3000万円
55歳 あり 6000万円 1億2000万円
なし 5000万円 1億1000万円
65歳 あり 5000万円 8000万円
なし 4000万円 8000万円
75歳〜 あり 3000万円 6000万円
なし 3000万円 5000万円

 

損害保険ジャパン日本興亜

損害保険ジャパン日本興亜は、年齢別の人傷保険の損害額一覧になります。

有識者(70歳以上を除く)の平均的な損害額です。

年齢 被扶養者の有無 死亡された場合 重度後遺障害の場合
20歳 あり 7500万円 1億4000万円
なし 6000万円 1億4000万円
30歳 あり 8000万円 1億4000万円
なし 6000万円 1億3500万円
40歳 あり 8000万円 1億3000万円
なし 6000万円 1億3000万円
50歳 あり 7000万円 1億1000万円
なし 5000万円 1億1000万円
60歳 あり 5000万円 8500万円
なし 4000万円 8500万円
70歳 あり 2500万円 3500万円
なし 2000万円 3500万円

 

三井住友海上

三井住友海上は、年齢別の人傷保険の損害額一覧になります。

ただし、重度後遺障害の場合の目安は載っていません。

年齢 被扶養者の有無 死亡された場合
25歳 あり 8000万円
なし 7000万円
35歳 あり 8000万円
なし 6000万円
45歳 あり 8000万円
なし 6000万円
55歳 あり 6000万円
なし 5000万円
60歳 あり 6000万円
なし 4000万円

 

あいおいニッセイ同和

あいおいニッセイ同和は、年齢別の人傷保険の損害額一覧になります。

有識者(70歳以上を除く)の平均的な損害額です。

年齢 被扶養者の有無 死亡された場合 重度後遺障害の場合
25歳 あり 8000万円 1億6000万円
なし 7000万円 1億6000万円
35歳 あり 8000万円 1億5000万円
なし 6000万円 1億5000万円
45歳 あり 7000万円 1億4000万円
なし 6000万円 1億4000万円
55歳 あり 6000万円 1億2000万円
なし 5000万円 1億2000万円
65歳 あり 4000万円 9000万円
なし 3500万円 9000万円

 

4つの損害保険会社の平均

下の表が、4つの損害保険会社の年齢別の損害額平均の表になります(2桁以下、四捨五入)。

20〜25歳を20代としています。以降、各年代は同じ表示形式をとっています。重度後遺障害に関しては、三井住友海上が載せていないので3社平均になります。また、70代に関しては、2社しか載せていないので今回は省略させて頂きます。

年齢 被扶養者の有無 死亡された場合 重度後遺障害の場合
20代 あり 7900万円 1億5000万円
なし 6800万円 1億5000万円
30代 あり 8000万円 1億4300万円
なし 6000万円 1億4200万円
40代 あり 7800万円 1億3700万円
なし 6000万円 1億3300万円
50代 あり 6300万円 1億1700万円
なし 5000万円 1億1300万円
60代 あり 5000万円 8500万円
なし 3900万円 8500万円

 

人傷保険の損害額は、各社年代によって大きな違いはなく同じような金額となっています。

 

人身傷害補償保険における損害額の計算方法

これからご紹介する人傷保険における損害額の計算方法は、実際に保険会社が利用している方法です。

保険会社が利用しているので少し難しいと思われる方がいるかもしれませんが、計算式は決して難しくはありません。

この計算式で導き出したご自身が受けるかもしれない損害額をもとに、人傷保険の保険金額を決めてみてください。

 

損害額を計算する前に

人傷保険の保険金額は、「重度後遺障害」ではなく「死亡」による損害額を基準とします。

それは、「重度後遺障害」が起こる確率が非常に低いからです。

ただし、「重度後遺障害」を気にされている方は、必ず損害額が高額になるので「無制限」をオススメします。

今回は、「死亡」されたときの損害額を基準として計算をするので注意して下さい。

 

損害額の計算を行う

被保険者が死亡時の損害額の計算式は下の通りになります。

死亡時の損害額の計算式

『死亡による損害』 = 「葬儀費」 + 「逸失利益」 + 「精神的損害

葬儀費」「逸失利益」「精神的損害」の3つの損害をもとに「死亡による損害」を決めていきます。

 

死亡時の損害額の計算の流れは下のようになります。

死亡時の損害額の計算手順

  1. 葬儀費の算出
  2. 逸失利益の計算
  3. 精神的損害の算出
  4. 各計算の合計

今回は、損害保険会社のリーディングカンパニーである東京海上日動の約款の「人身傷害条項損害額基準」に基づいて計算を行います。

基本的には人身傷害補償保険の補償に関しては、損保各社同じような設定にしてあります。

ただし、若干の誤差がありますので詳しく知りたい場合は、損保各社の約款を見て確かめて下さい。

 

step
1
葬儀費の算出

60万円とします。ただし、立証資料等により60万円を超えることが明らかな場合は、100 万円を限度に、実費とします。

出典:東京海上日動「人身傷害条項損害額基準」より

葬儀費は60〜100万円の支払になります。

ただし、計算をする場合は100万円になる可能性は少ないので、60万円として金額を設定します。

 

葬儀費

葬儀費:60万円

 

step
2
逸失利益の計算

逸失利益とは、生存していれば得られたはずの収入になります。

人傷保険では、このような損害も保険金として支払われます。

逸失利益の計算方法は下の通りです。

計算(2つある場合は、いずれか高い金額
家事従事者以外の有識者(一般的に働いている人)の場合 ◯逸失利益 = { 現実収入額年 ー 生活費 } × ライプニッツ係数
◯逸失利益 = { 年齢別平均給与 ー 生活費 } × ライプニッツ係数
家事従事者の場合 ◯逸失利益 = { 全年齢平均給与 ー 生活費 } × ライプニッツ係数
幼児・児童・生徒・学生の場合 ◯逸失利益 = { 全年齢平均給与 ー 生活費 } × ライプニッツ係数
異常なく働く意思と能力がある無職者の場合 ◯逸失利益 = { 18歳平均給与額 ー 生活費 } × ライプニッツ係数
◯逸失利益 = { 年齢別平均給与額の50% ー 生活費 } × ライプニッツ係数

用語

現実収入額:事故前年度の実際の年収

年齢別平均給与:保険会社が定める年齢別の給与を平均したもの(男女別)

全年齢平均給与:保険会社が定める全年齢の給与を平均したもの(男女別)

ライプニッツ係数:就業機会損失に置ける計算をする時に使用する係数。今回は、就労可能年数に対応するライプニッツ係数を使用。

 

つまり、逸失利益は、「収入(給与)」から「生活費」を引いた値に、「ライプニッツ係数」を掛けて導き出されます。

「収入(給与)」「生活費」「ライプニッツ係数」それぞれについてみていきましょう。

収入(給与)

  • 家事従事者以外の有識者(一般的に働いている人)の場合
  • 家事従事者の場合
  • 幼児・児童・生徒・学生の場合
  • 異常なく働く意思と能力がある無職者の場合

収入(給与)は上の4つのパターンに分けられます。

一般的に働いている人に関しては、実際の稼いでいる給与のことを指します。

ただし、それ以外の方は収入を得ていない方がほとんどなので、稼ぐ可能性があった収入を予測して計算します。

収入を予測した計算方法は、上述している逸失利益の計算式を参考にしてください。

 

生活費

生活費とは、被扶養者の人数に応じて収入(給与)に対して下の割合の額のことを言います。

被扶養者の人数 割合
なし 50%
1人 40%
2人 35%
3人以上 30%

用語

被扶養者被保険者に現実に扶養されている人のこと

 

以上から、「生活費」は上述した「収入(給与)」をもとに下のように計算します。

生活費の計算

生活費 = 収入(給与) × 上記の割合

 

ライプニッツ係数

ライプニッツ係数は、保険会社が一覧を公開しています。

このライプニッツ係数の一覧表から、ご自分の年齢・性別を探し出して係数を見つけます。

ライプニッツ係数の表は下のボタンを押すと記載しているのでご参照ください。

 

 

 

逸失利益の計算まとめ

収入(給与)」と「生活費」、「ライプニッツ係数」の3つを用いて逸失利益を計算します。

 

逸失利益の計算方法

『逸失利益』 = {「収入(給与)」 ー 「生活費」} × 「ライプニッツ係数

 

step
3
精神的損害の算出

被保険者の属性により下の金額支払われます。

被保険者の属性 金額
①被保険者が一家の支柱である場合 2000万円
②被保険者が65歳以上で、かつ、上記①以外である場合 1500万円
③被保険者が上記①および②以外の場合 1600万円

精神的損害は3パターンのみです。

③に関しては保険会社ごとに差があるので、確認が必要になります。

精神的損害は、被保険者が家族の収入源で合ったかで、もらえる保険金が変わります。

 

精神的損害

精神的損害は、被保険者の属性により、保険金が異なる。

 

step
4
各計算の合計

葬儀費」「逸失利益」「精神的損害」の3つの損害で、死亡時の損害額が決まります(その他損害があれば、プラスで支給)。

 

人身傷害補償保険における「死亡時」の計算例

この章では、人傷保険における死亡時の損害額を計算していきます。

24歳女性、前年度年収300万円、未婚の場合

step
1
葬儀費

葬儀費 = 60万円

 

step
2
逸失利益

逸失利益 = (現実収入額 ー 生活費) × ライプニッツ係数

= (400万円 ー 200万円) × 17.546

= 3509 万円(小数点四捨五入)

 

step
3
精神的損害

精神的損害 = 1600万円

 

step
4
各計算の合計

合計 = 葬儀費 + 逸失利益 + 精神的損害

= 5169万円

人傷保険における死亡時の損害額は、「5169万円」となります。

 

35歳男性、前年度収入800万円、妻1人、子2人(被扶養者3人)の場合

step
1
葬儀費

葬儀費 = 60万円

 

step
2
逸失利益

逸失利益 = (現実収入額 ー 生活費) × ライプニッツ係数

= (800万円 ー 240万円) × 16.374

= 9169万円(小数点四捨五入)

 

step
3
精神的損害

精神的損害 = 2000万円

 

step
4
各計算の合計

合計 = 葬儀費 + 逸失利益 + 精神的損害

= 1億1229万円

人傷保険における死亡時の損害額は、「1億1229万円」となります。

 

この死亡時の損害額をもとに、人傷保険の保険金額を決めます。こうすることで、ご自身にあった最適の保険金額にすることができるのです。

 

まとめ

人身傷害補償保険を最適な保険金額にするための計算式

  • 「死亡時の損害額」=「葬儀費」 + 「逸失利益」 + 「精神的損害

人身傷害補償保険の損害額は、若ければ若いほど、高収入であればあるほど、高くなります。

このように実際に計算することで、事故の現実味を帯びてしまい不快に思われるかたもいらっしゃるかもしれません。

しかし、もし一家の大黒柱の方が交通事故で亡くなられてしまったときは、ご家族の方の生活費が必要です。

生活費が少ない状態で、ご家族の方はどのように生きていけば良いのでしょうか。

いつ何が起きるかわかならいリスクに対して、私たちはしっかりと考えていかなければなりません。

最適な補償選びのために、人身傷害補償保険の計算をしてみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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  • この記事を書いた人

損保マン

元大手損保営業マン。 入社時に「事故担当(事故時の専任担当者)」を経験したのち、「リテール営業」を担当しました。この「事故対応」と「営業」の2つの経験を活かして本サイトを運営しています。

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